仕事を教えるときに理由も伝えるようにすると自分が楽できる
後輩に仕事を教え方がよくあります。「資料作るときは表記を統一してね」とか「プレゼンのときは先に結論から伝えるのが鉄則だよ」とか。
こういうことを教えてて思うのは「なぜそうした方がいいのか」という理由もセットで伝えた方がいい、ってことです。なぜなら、理由を教えることで、後輩が「一を聞いて十を知る」みたいな気の利いた動きをしてくれるようになり、仕事を頼むこちらが楽になれるからです。
言い換えれば、そのやり方をする理由を教えないと、いつまで経っても「一を聞いて十を知る」でいうところの「一」を教え続けることになるため、時間をとられ、自分が楽になれないからです。
例えば、クライアントへの提案書作成を後輩に頼んだとします。そのときに「スライド左上にあるタイトルのテキストボックスの位置は、全部のページで揃えてね」とは伝えるものの、「なぜ、そうしないといけないのか?」という理由を伝えない、とします。
そうすると後輩は、テキストボックスの位置は言われた通りに揃えるのですが、それ以外のこと(フォント自体のサイズがページによって違う、文言の表記が揺れている等)をスルーしてしまったりします。
その結果、あがってきた提案書を見て「おいおいフォントサイズも揃えておいてくれよ。ふつう気付くだろ」「気が利かないヤツだな」なんてことになって、修正を依頼するために再度指示したり、自分で手直しする時間をとられてしまいます。
これが続くようだと、ちょっとしんどいな、と思うわけです。
一方で、理由も伝えるケースを考えてみます。先ほどと同じく提案書づくりのケースで「スライド左上にあるタイトルのテキストボックスの位置は、全部のページで揃えてね」と指示した後に「なぜ揃えてほしいか、わかる?それはね、資料全体で表現に統一感がなくてページごとにバラバラだったりすると、クライアントに提案内容が伝わりにくくなるおそれがあるからだよ」とか「クライアントから『雑な資料だな』と思われて、取引してもらえない可能性があるからだよ」と伝えたとします。
すると後輩は「そういうことなら、テキストボックスの位置だけじゃなくて、フォントサイズとかもチェックしといた方がいいかな」といった具合に、抽象度を一段上げて考えられるようになります(もちろん全員ではありませんが)。これが俗に言う「一を聞いて十を知る」ということなのだろうと、私は思っています。
これを繰り返すことで、後輩の中に理由がストックされていくと、未知のパターンに遭遇したときにストックを応用して対応できるようになります(この状態を仮に「一人前状態」とします)。
もちろん理由を伝えなくても、経験を重ねればストックは蓄積されていきますが、理由を伝え続けた方が「一人前状態」に到達するスピードは速くなります。
理由を伝えた方が、効率的に育成できる可能性が高まります。「うちの後輩、気が利かないんだよね」とか「あいつ全然成長しねーな」みたいなことを言う人に限って、教えるときは「こうやれ」と指示するだけで、「なぜこうやらないといけないのか」という理由を伝えていなかったりします。それでは応用が利かせられませんから、なかなか成長しないのは当然なわけです。
人に何かを教えるとき、その理由も伝えてますか?